おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

弘前公園で春の音を聞く②

 弘前公園(お城)のすぐ近くに工業高校があって、吹奏楽部が練習している音が盛んに聞こえていた。お天気が良いから換気のために窓を開けているのだろうか。あるいは、いっそ外で個人個人で練習しているのか。プォーというラッパの音が、春ののどかさをいや増す感じ。

 お城の本丸は有料区域なので、滅多なことでは立ち入らないのだが、何々?冬期間は無料とな。これは当然行くでしょ。

 石垣修理のために、本来の場所から曳家されて本丸のほぼ中央に鎮座する天守閣をゆっくり廻り込んでいくと、前方から詩を吟じながら、つまり詩吟をうなりながら歩いていらっしゃるお爺ちゃん登場。あらっ、私の姿に気付いたら止めちゃうかしら、と思った私は若輩者。お爺ちゃんは堂々と吟じながらすれ違って行かれたのだった。陽気に誘われて歌い出すのは鳥ばかりではないようで。

 

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 上の写真で桜の枝越しに見える岩木山は、まだたっぷりと雪を戴いている。

 南の方では桜もとっくに満開を迎えたようだが、弘前のお城の桜はまだまだ固い蕾だ。それでも、お城にはチラホラながら観光客とおぼしき人の姿が見られた。きっと、枝々の蕾をみてはその満開の姿を想像したことだろう。

 写真を撮ったのは「桜のトンネル」と呼ばれる名所、西堀だ。お城をグルッと一周して一時間程も歩いた。疲れても来たし、そろそろお昼時でもある。この後は真っ直ぐ駐車場に向かおう。そんな事を考えながら歩いていると、後ろから若いカップルの会話が聞こえてきた。旅行者らしい。別に聞き耳を立てていたわけではないが、女性の弾むような声がとても通りが良くて、クッキリと耳に届いたのだ。

 

 「目玉焼きって、卵一個、ハム一枚が普通だと思っていたんだけど、卵が二個でハムも二枚で。サラダもヨーグルトもあって、お腹いっぱいになって・・・」

 泊まったホテル(ひょっとしたら彼の実家かも)の朝食の事を話しているのだろう。目玉焼きなんて一年を通してあるものだけれど、その彼女のたっぷりの朝食の描写は、いかにも春の朝の食卓という感じがした。

 無性に目玉焼きが食べたくなった。

 ウチに帰って何を食べようかと思っていたけれど、千切りキャベツをたっぷり添えた目玉焼きに決定。あーお腹空いたお腹空いた。さあ帰ろう、帰ろう。お腹の虫も鳴き出した。

 

 どうです?

 お城で最後に聞こえたものは、私の「お腹の虫」というオチ。なかなかグーでしょう。では。