私の「漫勉」とは、漫画を読んで勉強するという意味です。現在、惣領冬実先生の『チェーザレ 破壊の創造者』(以下『チェーザレ』)を読んでいるところです。
以前の私は、吹き出しに書かれた「文字」をかなりのスピードで追っていくという読み方をしていました。が、テレビ番組の『漫勉neo』をみて、漫画家の先生方がいかに「絵」に心血を注いでいるかを知り、じっくりと絵を味わいながら読むという方法に改めたところです。
時間かかりますね。特に『チェーザレ』は登場人物の名前が覚えにくく、関係性もややこしいので、理解するのにも時間が必要です。でも、丁寧に絵をみていくと、今までは気付かなかった漫画家の力量に今更ながら驚かされます。馬の表情まで描いている!とか。
また、「文字」を追っているだけでは気がつかなかったような、細かい、本当に細かい「物」に対するこだわりの描写にハッとさせられることが有ります。そして、その気づきをきっかけにネットで調べるという、まさに「漫勉」が始まるのです。
『チェーザレ』第6巻の中程に(コミックスってページが無いのね)、枢機卿が不愉快な内容の手紙をグシャッと握りつぶしているコマがあります。その手紙がですね、「あっ、これは紙じゃない。羊皮紙ってやつだ!」っていう描かれ方なんですよ。握られて出来たシワが紙のシワとは違っていて、縁に厚みもあって。
物語は15世紀のイアタリアが舞台です。製紙法って伝わってたよね。なんで羊皮紙を使ってるの?それとも羊皮紙だと思ったのは私の勘違い?
早速ネットで調べてみました。
結論から言うと、多分羊皮紙で間違い無いと思います。
確かに中国で発明された製紙法は13世紀後半にはイタリアに伝わっていました。ルネサンス期の15、6世紀にはほとんどのヨーロッパの国に製紙工場がつくられていたそうです。
羊皮紙とは羊だけではなく、ヤギ・子牛などの皮からもつくられたそうです。私は勝手な思い込みで、羊皮紙は紙が無い時代のいわば代用品で、文字や絵を描くためのものとしては、紙の方が圧倒的に優れていたのだろうと思っていました。ところがそうでは無かったのです。
羊皮紙は、耐久性はもちろん、書きやすさ、両面を使えるという便利さ、さらに表面を削って修正することも出来ると、あらゆる点で当時の紙よりも圧倒的に優れていたのだそうです。唯一難点は高価だと言うことでした。
『チェーザレ』第6巻に登場した手紙は貴族から枢機卿に送られたものです。当然、羊皮紙が使われたことでしょう、安価で低品質の紙ではなく。私はかなりの自信を持ってそう結論づけますよ。カミのみぞ知る、なんてぼやかしたりせず。
それにしても、惣領冬美先生も「時代考証に徹底的にこだわった」とは『漫勉neo』で話しておられましたが、ここまでやるか!凄い!漫画って凄すぎる。
講談社『モーニング』に2005年から不定期連載が始まり、2019年でまだ12巻というのも納得です。惣領先生、ご健康に留意され頑張って下さいね。私も10巻以降は書店で買いますから。では。