おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

ショートショート4 『蛙の言い分』

 ショートショートが出来ました。

 

 蛙の言い分    takakotakakosun 作

 

 「キャー、のび太さんのエッチ!」

 あー、またしずかちゃんが叫んでる。この「エッチ!」という言葉を聞くと、僕たち蛙は、非常に複雑な気分になるんだよねえ。

 というのは、その語源。

 エッチという言葉の語源にはいろいろ説があるらしいけれど、一番有名なのは「変態(HENNTAI)」の頭文字の「エッチ」だ、という説。「変態」は正確には「変態性欲」のこと。

 そもそも変態というのは、「もとの姿・形をかえること」。僕たち蛙や昆虫などにとっては、人生そのものだ。

 僕たちは卵からオタマジャクシ、そして蛙へと、ドラマチックに成長していく。その過程を「変態」と呼ぶのに、

 「この変態野郎!」

 などという罵倒語があるなんて。嘆かわしい!

 蛙の幼生であるオタマジャクシは、その姿の愛らしさから結構人気者だ。その上、やがて手が出て足が出て、最後に尾を体にしまい込めば、はい、おしまいという素晴らしさ。

 なのに、人間どもときたら。

 そんな僕らの変態に敬意を払うどころか、よりによって、「きゃー、エッチ!」だの「変態野郎」だの。いくらオタマジャクシ(お玉杓子)と言えども、人間どもはすくいようが無い。我慢ならん。ガマだけど。

 えっ、たかが言葉一つに、へそ曲がりにもほどがある?

 残念でした。曲がりようがありません、蛙にヘソは有りませんから!では。