今週のお題「遠くへ行きたい」
このチョコレートは少し前に『ジュピター』という輸入食料品店で買った、イタリアのものです。税抜320円でした。
チョコレートは大好きなので、つい「美味しそう!」と衝動買いもしてしまうのですが、このチョコレートを買った衝動は、「わー、オシャレ!」ということでした。さすがファッションの国、イタリアです。箱もオシャレですが、箱に印刷されたチョコレート表面の模様に心を鷲づかみにされ、「これは買って中身を実際に見なくては」と思ったのです。
実際に見た中身は、あれ?ちょっと違うかな?でも美味しいので、オッケーなのです。
イタリアには一度行ったことがあります。2016年の12月です。ミラノ・ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマという、「王道」とも言うべきツアーでした。
イタリアを一言で表すなら、「深み」かな。
汲めども尽きせぬ深い魅力にあふれ、訪れた人は皆、その深みにはまってしまうのです。もう一度行きたい。いや、必ず行こう。そう心に決めていました。
再び海外旅行が出来るときが来たなら絶対にイタリアだ、そう思っていました。日曜日の夜八時までは。
日曜の夜たまたま、テレビで下の絵を目にしたのです。
レオナルド・ダ・ビンチ 『聖アンナと聖母子』(ルーブル美術館蔵)
聖アンナは聖母マリアのお母さんです。
この絵は前から不思議に思っていて、なぜ成人女性である聖母マリアが「おばあちゃん」である聖アンナの膝の上に乗っているのか。この不思議については、何かの本で、「これは聖アンナではなく、マリアの夫が描かれているのではないか」という説を読んだことがありました。その時は面白い説だな、そう言われれば男性に見えなくもない。夫の膝の上の方が、老いた母の膝よりは自然だよね、そんな風に賛成の気持ちが起きました。が、なんとなく忘れていきました。
それが。日曜日の夜。
いきなりテレビの画面にこの絵が大きく映った時、ハッキリと感じました。「男性だ!マリアを膝に載せているのは男性だ!」と。
左腕が明らかに(私の目には)男性の腕だったのです。また、体全体の大きさも男性のそれで、「おばあさん」である聖アンナと見るのは不自然過ぎるのです。
行きたい、フランスに行って本物が見てみたい。強く強く思いました。
旅情 萩原朔太郎
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背広をきて
きままなる旅にいでてみん
(後略)
萩原朔太郎は、明治19年の生まれです。その時代、確かにフランスは「あまりに遠かった」ことでしょう。それがまさか、この現代においても外国が「あまりに遠く」なるなんて。
でもいつか、またいつか、人々が自由に旅に出ることが出来る日がやってくるでしょう。そう遠くない未来であるよう、願っています。
コロナ明け最初の海外は、イタリアかフランスか。それとも全く別な国か。その日まで、
せめては新しき知識を得て、きままなる想像の旅に出でてみん。
私の海外への憧れは、きっと日増しに大きく咲くたろうなのです。では。