おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

司馬遼太郎『伊達の黒船』 ー 嗚呼、今日は何という胸アツな日か!(後編)

 「胸アツ、胸アツ」と思いながら帰路につきました。でも、「こんな年になって、胸アツなんて若者言葉を使うって、どうなの?」とも思っていました。

 そう言えば、クレヨンしんちゃんも、「アツがムネムネ~」とか言ってたよね~。あれ、なんか違う気もする。あれ?あれ?(後で思い出しました。正しくは、ドキがムネムネ~、でしたね)

 そんなこんなで、「ムネアツ」という言葉がどうしようもなく気になり始め、

 「戦国時代の武将とかで、なんとかムネアツっていそうじゃない?よし、帰ったらネットで調べよう。でも、初めに調べるのは、前島密ね」そう心に決めました。

 

 Wikipediaで調べた前島密は、非常に頭脳明晰な人だという事は分かりました。が、特に面白い逸話などは無く、あわよくばブログネタにという下心もあった私は、少々物足りない思いで記述を読み終えようとしていました。

 そして、その「人物」について、今まさに読み終えようとしたとき出会ったのが、こちらの一文です。

 

Wikipediaより)

 前島夫妻の墓所も浄楽寺境内にある。郵政民営化を断行した小泉純一郎の選挙区(神奈川県第11区)内である。

 

 胸アツ~!なぜか一人で興奮したのでした。

 

 さて。いよいよ今日の本題に入りたいと思います。

 ネットで「むねあつ」を検索した結果、見事にヒットしたのです。

 仙台藩知事・伊達宗敦(1852~1911)。伊予国宇和島藩主・伊達宗城(むねなり)の二男(五男とも)。

 やっぱり「むねあつ」さん、居たわ~。ふうん、伊達宗城の二男ね、伊達むねなり、だてむねなり・・・。

 ピンとくるものがあり、すぐに検索。

 思った通り。

 伊達宗城司馬遼太郎の中編集『酔って候』に収められた4編のうちの1編『伊達の黒船』の登場人物でした。

 

新装版 酔って候 (文春文庫)

 

 この本は随分昔に読んだのですが、4編、どれもとても面白くて、いつかまた読むかもしれないと思っていました。中でも『伊達の黒船』は、印象深いという点で4編中の一番の作品だったのです。ああ、あの小説の殿様だー。確信した瞬間、実に実に胸アツだったのです。

 

 主人公は「十万石のお城下で、あれほど汚ねい男も、まずはあるまい」といわれている、平人としては最下級の身分の男です。仕事は「ちょうちん張り」で、食うや食わずの生活です。

 そんな男が、ある日ご家老から命を受けます。「黒船をつくれ」と。ご家老に主人公を推薦した大旦那様は言います。「異人が作るものを、宇和島の提灯屋がつくれぬはずがあるまい」と。

 さあ、主人公の可哀想過ぎる奮闘が始まります・・・。

 

 司馬遼太郎の筆はいつも通り淡々とすすみます。まるでその場で一部始終を見ていたかのように。でも淡々と。でもね、アツいんですよ。胸アツなんですよ。「幕末」という一種異様な人間群像と言いますか、時代背景と言いますか。常識的には荒唐無稽としか思われない様な事が、奇跡のように起こってしまう。

 でも。そんな「奇跡」も、おこすのはやっぱり人間なんだな~。そんな風に思わせられる胸アツな作品です。

 

 この記事を書く前に、読み直しました。

 「昔の文庫本って、字小さ!」

 久しぶりの読書でもあり、随分時間がかかりましたが、やっぱり面白い。勢いで次の作品『備前の妖怪』も読みました。これも面白い。残りの二編も面白いのは分かっているので、明日読むつもりです。楽しみ~、胸アツ~!

 以上、今日の「題」でした。では。