過日。
息子から通帳を預かり、頼まれたお金を下ろそうと郵便局内のATMに通帳を入れ、金額・暗証番号を入力。ところが、画面には「暗証番号が違います」と非情な文字が。もう一度入力。またしても「違います」。ここで通帳を取り出して確認すればいいものを、三度目の正直とばかりに、息子から聞いた番号を順番に、慎重にタッチしました。
「暗証番号が違います。窓口に通帳をお持ち下さい」
外に出て、息子に電話しました。声はむっとしていたと思います。
「暗証番号が違ってるんだけど。もう一度、あっ!。分かった。大丈夫。ごめんごめん」
喋っているうちにハッと思い当たりました。バッグのポケットには私自身の郵貯の通帳も入っていたのです。そう、私はATM機に自分の通帳を入れ、息子の暗証番号を入力していたのです・・・
郵便局に戻りました。
「済みません。暗証番号を三回間違ってしまって」
「はい、わかりました。今、解除の手続きしますね~。こちらに必要事項を記入して下さい」
窓口の女性は、多分私と同年代ぐらいだと思うのですが、テキパキと処理して下さり、「正しい暗証番号はお分かりですか」と私に尋ねました。「はい、大丈夫です」と答えますと、親切に次のようなアドバイスを下さいました。
「ATMの画面に袖口が触れて、間違いになったりすることがあるんですよ。それから、一つの番号をゆっくり押していると、2回押したことになってしまうことも有ります」
そうですよね~、「正しい暗証番号は分かる」とハッキリ答えられれば、そういうアドバイスになりますよね~。
ああ、「タッチパネルが苦手な年代の方」と思われたんだなあ。そう思っていると、さらに彼女の親切が続きました。
「こちら、今、窓口で差し上げてましたので、どうぞ」
そう言って、サプリメントの試供品を下さったのです。それはテレビのCMで良く目にする、サントリーの『ロコモア』という商品でした。透明袋に同封されたパンフレットには、「老化は脚にくる」と大書されています。
『ロコモア』もらっちゃったよ~。完全におばあさん扱いじゃ~ん。
そうよね、来年は還暦だもんね。第一、暗証番号を三回押し間違うって、客観的には完全に、、、、だよねえ。
まあいいか。
こうやって、人は自分の老いを受け入れて行くものなのかもね。自分では自覚がなくても、他人の目にどう映っているのか。それをこうやって学習していくのは、大事なことかもしれない。いつまでも若いつもりでしゃしゃり出て、若い人に嫌われたりあきれられたりすることが無いように。
そんな風に思いながら家路についたのでした。
ただ、問題が一つ。どうも私の老化は「脚」よりも「頭」のほうがヒドいような気がするんです。『ロコモア』はそっちには効きませんよね。
でも、運動は脳の活性化にもつながると聞きます。頂いた『ロコモア』を飲んで、「密」を避け、速歩きを頑張りたいと思います。小学生時代は「ロウカは走るな」でしたが、今は「ロウカは走ろう」を目標にしたいと思うのです。では。