おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

アルベール=カミュ『異邦人』 きょう、ママンが死んだ

今週のお題「激レア体験」

※今日はちょっと「ぼやかした」部分も多分にあるのですが、基本的に実話です

 

 ある冬の休日。

 雪が積もっていたので、姑がまだ起きていなかったら、朝食は雪かきが済んでからにしようと思った。姑は小さな寝室と小さな居間と、二部屋を使っている。そっと居間を覗いたが、カーテンも引かれたままで、まだ眠っていた。

 30分ほど雪かきをして、家に入った。また姑を覗いたが、まだ眠っているようだ。

 やがて夫が起床。朝食の支度も出来ているので、姑を起こして来てとお願いする。戻ってきた夫は言う。

 「おばあちゃん、ぐっすり眠っていて起きないよ。呼んでも全然起きない」

 「お父さん、それ、変でしょ」

急いで姑のところへ。

 「おかあさん、おかあさん」

肩をポンポンたたきながら、耳元で大声で呼んでみる。もう一度呼んでみる。

 

 「お父さん、これ、死んでるよ」

 「うそっ、だって、体、暖かいだろ」

 夫が信じられないのも無理はない。姑は普段と変わらない様子で、お行儀良く布団に横たわっているし、確かに体は暖かい。

 

 「お父さん、暖かいのは、床暖房のうえに布団を敷いているからじゃない?布団の中、ポカポカだもの・・・」

 

 夫、救急車、救急外来と、心臓マッサージのリレーが続いた。が、残念ながら、まもなく救急搬送先の病院で姑の死が告げられた。脳出血だった。

 昨日まで元気だった人が・・・。

 夫も私も、なんだかポカンとしてしまって、いつまでも実感がないまま、火葬・お通夜・葬儀と、事を運んでいったのだった。

 

 ということで、何が「激レア体験」かと言えば、太字の部分かな。こんな事もアルベール、ということで。では。