おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

今年の雨は、心騒がず

 今日の弘前は肌寒い雨の日でした。

 例年の今頃は気温や風や雨や、一言で言えば、気象に一喜一憂するのが弘前市民の習いでした。

 気温が上がれば、「咲きすぎて、GW前に終わってしまうのではないか」

 雨が降れば、「花の色が悪くなってしまう」

 風が吹けば、「散ったらどうしよう」

 

 そうなんです。この時期の弘前市民は弘前公園=お城の桜がいつもいつも心にあって、咲いたと聞いては喜びつつも「早い!」と心配し、晴れた日には咲き急がないよう、風雨の日には傷まないよう、寄ると触ると桜を話題に、なんだか落ちつかない毎日を過ごすのです。

 

 でも、今年は違います。弘前公園はGWが終わるまで立ち入り禁止、お花見どころか散歩さえ出来ないのです。それに加えて「寄ると触ると」の機会も自粛ということで、桜を語る事も無く、降る雨にも動ずること無き弘前市民の私なのです。

 

世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 在原業平

 もしも世の中に桜が全くなかったならば、春の人の心は、どれだけのんびりできたことでしょうね

 

 弘前公園の桜祭りが全く行われないなんて!人生には思いがけない出来事があるものです。

 在原業平の歌は人々の心をかき乱すほどの桜の魅力を、逆説的に表現しているわけですが、「早いの、遅いの」「今年の咲きはいいの、悪いの」、あれこれ桜を論評できることの幸福を改めて思い知らされます。

 

 桜は来年も咲きます。一年後の今頃は、コロナウイルスではなく、桜の話題に一喜一憂する弘前市民でありたいと、痛切に願っています。

 「家にいましょう」の昨今、「幸福の青い鳥は家にいた」という童話がありますね。主人公の名前はチルチルとミチル。二人の名前にあやかって、今年は桜散る散るとも心乱さず、来年の桜満ちる春を待ちたいと思います。では。