あまり評判の芳しくない、映画版『キャッツ』を観てきました。
ところで、皆さんは映画に何を期待しますか?あるいは、映画ならではの面白さとは何だとお考えでしょうか。
映画は総合芸術だという説をよく聞きます。様々なジャンルの芸術、文学・演劇・音楽・舞踊・美術そして現代のCG効果など、あらゆる方面の才能を総動員して作られるのが今日の大作映画なのですから、当然と言えば当然の説です。そして、それらの様々な要素の中で、どれに重点を置いて観るのか。それがその人の映画に期待するものということになるのでしょう。
さて、『キャッツ』です。うーん、私は55歳以上割引で1,100円だったので、まあいいかなといったところです。劇団四季など、なかなか観る機会も無い青森県住みなので、名高いミュージカル『キャッツ』の大体のところが分かっただけでも良しとします。(分かった、というところがミソですね。味わえたわけではないのです)
☆良かったところ
・白猫ヴィクトリアの顔が美しくて可愛い。ダンスがさすがバレリーナ、優雅。
・ロンドンの町並みが効果的にあらわれて、「町並み好き」はワクワク。
・テイラー=スウィフトのセクシーな存在感
★もの足りなかったところ
・ストーリーにもキャラクターにも深みがない。「もともとキャッツってそういうストーリー」という意見も散見しますが、生で歌や踊りを楽しむ舞台ならそれでいいでしょうが、何のために映画にしたの?迫力では舞台に敵わないのはわかり切っているのですから、もっとドラマ性やストーリー性にこだわって欲しい。ビジュアルは大人向けなのに内容はお子様向けでした。
・CGを駆使した毛の生えたボディスーツではなく、「衣装」にして欲しかった。舞台なら猫になりきった俳優の演技も見所になるのでしょうが、どうせCGの毛並みや尻尾の動きをみせられるのなら、それぞれの猫の個性に合った衣装がみたかった。ダンスだって素敵な衣装をまとった方が、もっと視覚効果が高まったと思う。
それに、「衣装」にすれば雌猫たちの体型も、もっとボン・キュッ・ボンの魅力的な造形にできたのに。あの姿でそれをやったらセクシーではなく、猥褻になってしまうものね。
☆新しく気づいたこと
・スクリーンの猫たちをみていて、ずっと違和感を感じていました。何だろう?とても良くできているのに。
二本足で歩いて踊るから?いや、許容範囲。
眉毛や唇が許せない?全然。むしろ、各俳優の顔立ちを残したまま猫っぽくなっていて、凄いなーと感心しました。
そして、ハッと気づいた違和感の正体は、首と肩だったのです。そうだー、猫には首も肩もないよねー。だから、ジュディ=デンチやジェニファー=ハドソンのように、首の周りに盛大なモコモコが付いていると、猫っぽさが増して見えるんだー。
登場する俳優さんたちは、男性も女性も肩幅がしっかりした首の長い方が多く、それが私の目には「猫」には見えて来ない理由だったように思われたのです。
・猫のフォルムの可愛らしさと猫らしさは、やっぱり幼形成熟にあるということ。
https://chokoreitodaisuki.hatenablog.com/entry/2019/05/19/153948
上の過去記事に書きましたが、猫は子供の丸い顔を残したまま大人になるのです。にもかかわらず、猫ってどこかセクシーでもありますよね。
丸く、体長にたいして大きい顔。狭いなで肩(?)。そして、座った時の丸い背中。これらの特徴をそのまま擬人化しては、セクシーな猫の姿にはとてもならないわけで、でもデフォルメし過ぎるとエロくなりすぎてしまうし。難しいところだと思います。
映画化にあたって、制作陣のご苦労は並々ならぬものがあっただろうとは思うのですが、さっき観てきたばかりという、熱々の感想が以上です。
決して猫舌の私ではないのですが、評価としてはピリピリとした辛口になってしまうのでした。あしからず。では。
↓ 箸置きです