昨年末のことですが、弘前市のお隣の西目屋村・道の駅の、「こぎん刺し展」に行ってきました。
こぎん刺しについては、↓ こちらをどうぞ。
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昔のこぎん刺し、現代のもの、それぞれ素晴らしい作品がありました。
展示の中に、かつて、せっせとこぎん刺しに精を出した、女性たちの紹介写真がありました。
西目屋村は世界遺産「白神山地」のある村で、昔から炭焼きが盛んでした。炭焼きは山の中で行われるのですから、出来上がった炭は里まで下ろして来なければなりません。馬も入れない山中なので、当然、人力での運搬となります。そして、その仕事は女性たちの役目でした。
西目屋の炭は女性たちが背負って運んでいたというのは知っていましたが、私は勝手に大きな勘違いをしていたのです。それは、炭というものは軽いもので、だから女性でも運べたのだろうという思い込みです。
ところが。写真の説明に驚いたのですが、一人あたり、4俵、約64㎏の炭俵を背負っていたのです。
その姿が ↓ こちらの人形です。
ピンクの頬被りをした可憐な『目屋人形』。その背中に64㎏の炭俵を背負っていたとは。あれですよ、「優雅に水の上に浮かぶ白鳥も、水面下では必死に足を動かしている」ってやつですね。目屋の女性も白鳥のように、愚痴・泣き言を言わず黙々と自分の定めに従っていたわけです。
女性たちがまとった絣(かすり)の下には、強靱な肉体が隠れていたのですね。現代に生きる暢気な私の、「炭は軽いから」なんて予想はかすりもしなかったわけで、つくづくと現代に生まれた幸運を思うばかりです。
「目屋人形」は一時期姿を消したものの、昭和59年に復活したのだそうです。可愛らしいばかりではなく、女性たちの苦労の歴史を秘めた人形。スミに追いやられることなく、こうして展示・販売されているのは喜ばしいことです。残念ながら買っても飾る場所がないので、私は買わないのですが。スミマセン・・・。では。