美術館で絵(本物)をみる楽しさってなんなんだろう?と度々思うのですが、これだ!という答えはなかなか思いつかないでいます。もちろん、人それぞれ色んな楽しみ方があろうとは思いますが、自分で自分の楽しさの正体と言いますか、なぜ自分が絵を見に行くのか、分からないのです。
ただ、毎回美術館で絵を見た後は、満足感でいっぱいになります。特に今回のような有名画家の名品が目白押しの展覧会は、かなり長い間、余韻に浸ることになるのです・・・。
コートールド美術館は、イギリスが世界に誇る印象派・ポスト印象派の殿堂なのだそうです。名だたる名品を所蔵していますが、通常それらが貸し出される事は滅多にないのです。が、このたび美術館の改修工事のため、奇跡のラインナップで日本にやって来たのです。
マネ、モネ、セザンヌ、ルノワール、ゴッホ、ピサロ、シスレー、ゴーガン、モディリアーニ、ロートレック・・・
美術史に燦然とその名を輝かせる画家達の、それも代表作とも言えるような名品が次々と目に飛び込んできます。私の感動の軌跡は次の様なものでした。
まず、画家の名前に目がくらみます。ゴッホ?モネ?いきなり?マジで?
しかも、傑作ぞろい!(画集か何かで)みたことあるもの!
わっ、マネだ!水面が揺れてる~。モネは光があふれ出てる~。
ゴーガン、大好き。タヒチ時代の作品は始めて本物みた!これは、高い!
ボナール、やっぱり良くわかんない
ちょ、ロートレック、ロ-トレックの肉筆みられるとは思わなかった。ロートレックって、ちょっと想像できないレベルで高いんだよね。
モディリアーニもある。目を閉じてるのが残念だけど、色が綺麗。顎が要潤。
そして。
ポスターに使用されているマネの『フォリー=ベルジェールのバー』の前に立ったとき、「本物をみるって、こういうことだ」と思いました。圧倒的な力で目を持って行かれるの。そして、持って行かれた画面のどこをみても「凄い」としか言い様がないの。女性の顔や衣装は勿論、鏡に映った人々や、手前の瓶や果物や大理石のカウンターや、一つ一つに魔法がかかっているかのよう。私は特に、女性の左手の隣の二本のバラがあまりにも美しくて、どうしたらこんな風に描けるのか、本当に魔法だと思いました。今までも、絵を見て感動を覚えた事はありますが、このマネの作品ほど立ち去りがたく思った絵はありませんでした。マネ最晩年の傑作とパンフレットにある作品です。
コートールド美術館展は12月15日までです。昨日の記事にも書きましたが、もう一度書きます。
行って!みんな、行って!これは絶対に行くべき!絵画を見に行ったかいがあったと思うはずです。では