おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

日傘男子?なの?

 8月23日の「ブランコ」をテーマにした記事の中で、三橋鷹女の俳句を紹介しましたが、鷹女の句の中で一番好きなのはこれかな ↓

 

 子の鼻梁焦げて夏山をいまも言ふ   鷹女

 夏休みを利用して登山に出かけた息子。顔を真っ黒に日焼けさせて帰って来た。特にその鼻は、「焦げた」と言ってもいいほどの焼けようだ。山は、よほど楽しく心に残るものがあったのか、あれから幾日もたったというのに、折に触れてはその楽しさを語る息子であった。

 

 息子さんの語る「山の楽しさ」、わかるなあ。私は山女の端くれの端くれ、末端のそのまた末端に位置しているけれど、山の楽しさ、そして奥深さは想像がつく気がします。まして、青年がその持てる力を限界まで発揮したであろう登山、語っても語っても語り尽くせぬ思いが胸に刻まれたことでしょう。

 そして、そんな息子を見違えるような思いで見つめる母の眼差し。我が息子ながら、惚れ惚れとする鷹女の様子が伝わって来ます。幸福な句ですね。

 

chokoreitodaisuki.hatenablog.com

 こちらに書きましたが、去る18日、ちょっと山に行って来ました。初心者コースでしたが、死にそうな思いをしました(笑)。でも、それでも山は楽しかったのです。

  事前の説明会で、持ち物についての詳しい案内もありまして、そのリストの中には「日焼け止め」もありました。女性は当然「日焼け止め」なりメイクなり、日焼け対策は怠らないでしょうから、わざわざ書いてあるのは男性に向けて、あるいは、山の強烈な紫外線を念頭に、女性にはいつも以上に気をつけるよう促したものかと思われます。

 鼻梁を焦がして山に登った昭和は遠くなりにけり。平成・令和の時代には山男だって「日焼け止め」を塗るのです。勿論、いいことです。日焼けはヤケドの一種ですからね。お肌を守るのは重要です。

 

 昨今は、紫外線が強烈なのは山に限った事ではありません。都会の猛暑の中、太陽からだけではなく、アスファルトの照り返しや高層ビルからの反射が容赦なく襲ってきます。そこで、話題となったのが『日傘男子』。昨年までは女性専用の感があった「日傘」ですが、今年は男性にも愛用の波が徐々に広まっているらしいです。らしい、というのは、ニュースでは見たものの、ここ弘前ではまだ「日傘男子」はお見かけしたことがなかったからです。

 ところが。

 3日前の水曜日、とうとう出会ったのです。朝の9時頃でした。私は自転車を漕いでおりました。当然、左側通行です。向こうから傘をさした男性が歩いてくるのが見えました。その時刻、弘前市は青空が広がるいいお天気。

 「噂の日傘男子だ!」そう思いました。でも、その方との距離が近づくにつれ、「男子、ではないな」ということがわかりました。おじいちゃん寄りのおじちゃん、といったところでしょうか。

 更に近づきました。そしてすれ違う一瞬前、気づきました。その方がさしているのは「透明ビニール傘」だということに。半透明ではなく、ホントの透明。通り過ぎてから、面白さ半分、恐さ半分という気分になりました。

 

 男性が日傘を用いるのが「現代」なら、風変わりな人を見かけて「恐い」と思うのもまた「現代」ではないでしょうか。ちょっぴり残念な事ではありますが・・・。

 

 同じ「焦る」という漢字でも、「鼻梁が焦る」息子は微笑ましい光景ですが、風変わりな男性を見て「焦る(あせる)」のは悲しいですね。そして、他人を見て「恐い」と焦ったりする私もまた、かんじの悪いおばさんなのかも知れません・・・。では。