おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

『ライオンキング』、新旧見比べた

 息子達が小さかった頃、ディズニーのビデオには大変お世話になりました。中でも、『ピノキオ』と『ライオンキング』は繰り返し見たものです。息子達だけでみることもあれば、私や夫も一緒にみて、息子達が歌ったり笑ったりする姿を眺めて私達も笑ったものです。特に1994年制作の『ライオンキング』は、昭和30年代生まれには驚きの懐かしさでしたね。だって、レオだもの!

 

 ということで、今話題の「超実写版」ライオンキング、字幕版をみてきました。

ライオン・キング (オリジナル・サウンドトラック デラックス版)

 凄いですよね、この本物感。CGってここまできたんだ!と、驚愕の映像美でした。で、CG技術の凄さに圧倒された後は、何を楽しめばいいの?

 一緒にみた息子その2は、「アニメで良くない?」と言いましたが、私は「アニメの方がいい」と思いました。なぜそんな風に思ったのか、自分でも漠然としていたので、アニメーション版を借りてきて、みてみました。息子達が小さい頃は吹き替えでみていたのですが、今回は条件を同じにするため、字幕版を借りてきました。

 以下、私がアニメーションの方がいい!と思う理由です。

 

①動物がリアルな姿なのに、リアルじゃない設定とのアンバランスさが気になる

 リアルな動物が人間の言葉をしゃべる。みている側の脳が追いつかない。まあ、その点は次第に慣れてはいくのですが、どうしても大きな?マークが頭を離れない事が多々。草食獣がライオンを王とあがめる不自然さとか。仔ライオンが昆虫食だけで成長できるのかとか。アニメーションでは許される「荒唐無稽」も、超実写だと気になるんです。私が頭の固いおばさんだからですかね?

 

②ミュージカルではなくなっていた

 ライオンキングって、名曲揃いのミュージカル・アニメーション映画だと思うんです。超実写版でも懐かしの名曲の数々が歌われ、心躍りました。特に、オープニングの美しいアフリカの風景をバックに流れるスワヒリ語(?)の曲には、これから始まる物語への期待がいやが上にも高まりました。でも、映画はミュージカルではなかったんです。

 私にとってミュージカルとは、歌と「踊り」があってこそ。超実写であるために、動物を踊らせることは出来ないのです。本物の動物は踊りませんからね。アニメーション版では、いろんな動物がその体の特徴を生かして、楽しく賑やかに踊ってるんですけどね。ティモンなんか、フラダンスまで踊ってましたよ。残念です。

 

③ストーリー、まんま。曲、まんま。キャラクター、薄まる

 ストーリーはほぼアニメ版のまま。演出・カットも大体まんま。曲もアレンジはしてあるのでしょうが、ほぼまんま。アニメ版を知っている観客には「懐かしさ」を提供してくれますが。それのどこに超実写にする意味があるのでしょう?逆にリアルな動物の姿を追求したために、デフォルメされた動物の魅力的な個性が消えちゃったじゃないですか。

 ティモンとプンバァのコミカルで気のいいやつらっぷり。

 ハイエナのお馬鹿トリオの憎みきれないろくでなしっぷり。

 そして、今回アニメ版を見直して気づいたのですが、レオシンバと戯れるナラの、誘うような目つきの色っぽいこと。

 これらを犠牲にして超実写にするなんて。私にはどうにも納得がいかないのです。

  私達や今の若い世代と言った、アニメ版『ライオンキング』を知っている世代は既にキャラクターに思い入れがある状態で新作をみます。が、この超実写版が初めてのライオンキングになる子ども達は果たしてアニメ版をみて覚えるような親しみをおぼえるのでしょうか?感情移入できるのでしょうか?レオシンバにシンバシーは感じるでしょうか?

 

 最後に、実写と比べて超実写では、動物の演技に感心できないということも言いたいと思います。

 昔から、実写で動物が活躍する映画やテレビドラマはありました。それらをみる度に私達は動物の賢さと、演技を仕込んだ人間の手腕に感心したものです。そして、中には演技というものを理解しているのではないかと思わせるほど芸達者な動物もいて、奇跡をみるような思いもしました。

 スピルバーグの『戦火の馬』という作品では、馬の演技に本当に泣かされました。超実写では、人間の科学力の凄さには感心させられましたが、ハッキリ言ってそれだけです。まあ、それも確かに見所ではあるとは思いますが・・・。

 

 もし、将来孫が出来て、一緒に『ライオンキング』をみることが出来るなら、私は絶対アニメ版を選ぶと思います。そして、孫と一緒にティモン・プンバァコンビに声援を送ったり、ハイエナのお尻サボテンに大笑いしたり、そんな風に楽しみたいと思うのです。そして、次に孫が来たときには、「ライオンキングの超実写版あるよ」と言って孫をつりたいと、楽しい空想をしてみたりするのでした。では。