今は夜の八時です。外は強い風が吹き荒れています。こんな夜にぴったりな、私の創作童話をお届けします。『北風と太陽』の続編です。
吹雪の中を一台の車が走っていた。
前回の太陽との力比べに破れた北風は、今度こそとの思いを胸に、再びの戦いを挑んだ。
「太陽君、一台の車が見えるだろう。君と僕と、どちらがあの車に事故を起こさせることが出来るか、さあ競争だ」
言うが速いか、北風はビュービューと恐ろしい勢いで吹き荒れた。雪が狂ったように舞い、ドライバーの視界はゼロ。ドライバーはハンドルを握る手に力を込め、スピードをギリギリまで落とし、ゆっくりゆっくり進んで行った。北風が強くなればなるほど、ドライバーは慎重になっていった。
北風に疲労の色が見え始めた。
「さあ、今度は僕の番だ」
太陽が道路を暖かく照らし始めた。天気の急変に驚きながらも、ほっとしたドライバーは鼻歌交じりでスピードを上げていった。やがてドライバーは、先ほどまでの極度の緊張で疲れてしまったのか、ウィンドーからの暖かい日差しを受けながら、ウトウトし始めた。
一瞬の後。ハッと目を開けたドライバーの視角いっぱいにガードレールが。
「ウワー」
絶叫と共に車は谷底へと落ちていった。またまた太陽の勝ち。お終い。
私はいい年をしたおばさんなのに、こういうブラックネタが好きなんです。「ブラック」という言葉が良く聞かれる昨今ですが、私はブラック体質なんですかね。
ブラック体質ってどういう体質かって?昔から言うじゃ無いですか。腹黒いって。では。