日曜夜、Eテレ「サイエンスゼロ」を見ました。
番組では小笠原諸島・西之島の噴火が紹介されました。2013年11月、突然噴火した西之島は、隣にあった旧西之島のほとんどを飲み込んでしまいました。溶岩が島を覆い尽くしました。旧西之島は鳥たちの楽園と呼ばれる島でしたが、溶岩に覆い尽くされた島で、鳥たちはどうなったでしょうか。
なんと、溶岩だらけの島では、何種類かの鳥が群れをなし、繁殖していたのです。凄い生命力です。噴火という大災害をものともせず、生き残っていたのです。
話は変わります。
皆さんは「リョコウバト」あるいは「アメリカリョコウバト」という鳥の名前は聞いたことがありますか。残念ながら、もはや絶滅した鳥なのです・・。
上のWikipediaのリンクは、是非読んで頂きたいです。内容もとても興味深いのですが、文章に冴えがあります。私が惹かれた箇所をいくつか抜粋してみます。
鳥類史上最も多くの数がいたと言われたが、乱獲によって20世紀初頭に絶滅した。
鳥類の博物画家として有名なジョン・ジェームズ・オーデュボンは、1838年の日記に、頭上を通過中のリョコウバトの群れが、まるで空を覆い尽くすかのように3日間途切れることなく飛び続けたと記録している
1914年9月1日午後1時、マーサは老衰のため死亡し、リョコウバトは絶滅した
18世紀には、北アメリカ全土で約50億羽が生息していたとされるリョコウバト。リョコウバトの肉は非常に美味で、高く売れたのだそうです。また、羽根布団の材料にするためもあって、乱獲に次ぐ乱獲。そして、生息地の森林が破壊されたことが個体数激減に拍車をかけました。
1906年には、ハンターによって野生の最後の一羽が撃ち落とされ、飼育されていた7羽の個体が残るのみとなりました。最後まで生きたリョコウバトは、ジョージ・ワシントンの妻の名にちなんで、マーサという名前だったのだそうです。マーサは動物園で生まれ、檻の中で一生を過ごしました。リョコウバトなのに。
マーサが死亡した1914年9月1日という日は、「一つの種が絶滅した」ということがはっきりとわかっている、希有な日なのです。
火山の噴火に遭っても生き残るほど、「生命」は強いものなのに、50億羽の鳩を、わずか200年余りで絶滅させるのが、人間という存在なのです。改めてはっとさせられました。