パイプオルガン演奏会に行った記事を書いて、数年前に訪れた、スペイン・トレド大聖堂のことを思い出しました。ほんの些細な事ですが・・・。
トレド大聖堂には17世紀に作られた2台のパイプオルガンがあり、向き合う形で設置されています。現在でも現役だそうです。パイプが前面に突き出すという独特な形状で、迫力と豪華さを醸し出しています。
そのパイプオルガンの下には、「聖歌隊席」が上下2段に設けられています。これがまた、凄い。背もたれの部分に木彫が施されているのですが、緻密な上に全部デザインが異なるという懲りよう。背もたれならぬ、胃もたれがしそうな感じです。
さて、分かり易いよう、椅子の一つをアップにした写真をご覧下さい。
今日のメインは、この座面の部分です。座面は跳ね上げ式になっていて、座るときにおろします。写真は上げてある状態です。とても面白い仕掛けが二つあるんです。
一つ目は、座面(座るときは隠れる部分)に取り付けられた、取っ手のようなものです。なんのためだと思います。実は、聖歌隊がコッソリ腰掛けるためなんだそうです。ずうっと立ちっぱなしは確かに疲れます。少し体重を預けるだけでも違いますもんね。これも一種の「働き方改革」かな?
二つ目は、その取っ手の下の彫刻です。写真の人物は何をしていると思いますか。答は、彼は泥棒です。なぜそのようなモチーフが選ばれたかというと、座面は「お尻」を載せる不浄な部分ということで、それに相応しい「汚れたもの」を、という発想なのだそうです。当時の人は大真面目に作ったのでしょうが、なんとも面白い出来上がりになっています。背もたれよりも、こちらを見る方が面白いかもと思うのは、やっぱり私が下々の者だからでしょうか。お尻だけに。
失礼。だんだん、話がいつにも増して、下らなくなってきました。この辺にしておきますね。では。