今日は、フランス国王、ルイ12世(在位1498~1515)の離婚についてです。
ルイ12世は、元々王家の血筋ではありませんでした。ルイ11世の娘と政略結婚しており、11世の後を継いだシャルル8世の義兄ということになりました。ところが、そのシャルル8世が男の子のないまま逝去。タナボタ式にルイ12世が誕生しました。もう、恐いもの無しです。
さて、シャルル8世の未亡人ですが、美人の誉れ高いうえに、ブルゴーニュ公領という莫大な財産を持っていました。ルイ12世が何を考えたか、もうお分かりですね。王妃と離婚して、未亡人と再婚すれば労せずして領地ゲット、僕ちゃん頭いい!です。
ところが、カトリックでは離婚は禁止です。神が結んだ絆を人の勝手で解消することは出来ない。ではどうするか。ちゃんと抜け道があるんですね。
離婚ではなく、「結婚の無効」を、教会に、国王の場合は、教皇に認めて貰えばいいのです。例えば、知らないで結婚しちゃったけど、近親でしたとか。無理矢理に強制された結婚でしたとか。結婚は完成していません(まだやってません)とか。「無効」、そもそも結婚が成立していないので、「離婚ではない」という理屈なのです。
でも、ちょっと待って。「近親婚」だけど、庶民ならともかく、王家や貴族など、家系のしっかりした人達が、知らずに近親婚はありえないでしょ?皆が知ってるのに近親婚してるでしょ?現にルイ12世夫妻は近親婚にあたるのです。なぜ可能だったのか。これも、教皇から「特免状」を貰えばいいのだそうです。「必要は発明の母」とは言いますが、人間の知恵って凄いですね(笑)
さて、ルイ12世ですが、王妃との結婚は無効が認められ、お望み通りに未亡人との再婚も叶いました。
こちらについては、佐藤賢一著「王妃の離婚」という直木賞受賞の小説が大変面白いので、興味のある方は是非。
もう一人、結婚の無効を教皇に願い出、却下された国王がいます。イングランド国王、ヘンリー8世です。
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教皇に願いを聞き入れて貰えなかったヘンリー8世はどうしたか。
ようし、分かった。自分の思うとおりにならないカトリックとは縁を切る。私は私の教会を作り、そのトップとなる。そしてやりたいようにやる。
こうして誕生したのが「イギリス国教会」です。まさに、キョウコウ手段ってやつです。
ちなみに、ルイ12世は再婚相手が死亡後、このヘンリー8世の妹と再再婚しています。
さて。
今日の記事を書こうと思ったのは、日曜日に見た映画「ボヘミアン・ラプソディ」のワン・シーンが妙に心に残ったからです。
映画のクライマックスは、「バンド・エイド」のコンサートシーン。「皇太子夫妻のご入場です」のアナウンスと共に、小さく映ったチャールズ皇太子とダイアナ妃。
Queenのステージをみていた皇太子夫妻だったお二人。歴史的ワン・シーンっていう感じがしましせんか。私達、いつの間にか、歴史の証人ってやつになってたんですねえ(遠い目)。