ルーカス・クラナッハ(父)は、妖艶な美女の絵で有名ですね。
↓ 皆、こんな顔してます
『ヴィーナス』
この絵の実物を上野・「国立西洋美術館」でみたことがありますが、すごく小さい。
絵の注文主は、この絵を寝室に飾って「楽しんだ」そうです。クラナッハが活躍した16世紀初頭は、こんな絵を堂々と飾れるような時代ではありませんでした。
だがしかし。
仮に公に飾ることが許されたとしてもですよ、やはりこの絵は寝室に飾られ、「秘密に楽しむ」のが、正しい鑑賞法でしょう(そう思うでしょ?)
クラナッハの描く美女は皆、顔も独特ですが、プロポーションも皆へんてこりんなんですよ。でも、それが妙に官能的といいますか、魅力になっているんですね。以前から、大いに心惹かれるものがあって、「私はクラナッハが好き」なんだと思っていたんです。
ところが。
上野で実物を何点もみましたら、「好きじゃない」という結論になってしまいました。
『ユディト』 顔となで肩が、いかにもクラナッハですね
この絵も他の絵も、「色」が好きじゃない。特に赤(赤と言うより、臙脂(エンジ)色)と赤橙色(ダイダイ色)。他の絵にもこの二色は頻繁に使われていて、クラナッハの「個性的な美」の基準に合っていたのでしょう。でも、私には不快な色ですね。「血の色」を思わせられるからなんでしょうか。理由は判然としないのですが、とにかく色が嫌いなので、クラナッハは好きじゃないという結論になったのです。
クラナッハに寝室用の絵を注文した人は、きっと「色好み」な男性だったと思いますが、私はクラナッハの「色は好まない」というお話でした。