おばあさん見習いの日々(ダジャレ付き)

1961年生まれ。丑年。口癖は「もう!」

四日目 さようなら、城崎温泉

 今回の旅行では同じ旅館に三連泊したのですが、感心したのは夕食です。初日も充分美味しい食事だったのですが、二日目はさらに、三日目はいよいよ豪華に美味しくなり、非常な満足を持って最後の夜を終えることが出来たのでした。ツボを心得てるねえ。

 外湯巡りも無事に全湯制覇を達成することが出来、めでたしめでたしという感じです。後は無事に家に帰るだけ。家に帰るまでが旅行です。

 

 私は乗り物から外の景色を見るのが大好きなのですが、城崎駅から乗る列車からは小さく玄武洞が見えるのです。来るときには知らなかったために見逃しています。帰りは絶対に見逃すまいと固い決意です。

 それともう一つ。実は昨日、玄武洞公園から出石に向かうバスでのことです。水田にいるサギに混じって、子供のコウノトリを発見したのです。しかも二度。本当です。自分でも実際に見るまでは、「サギとコウノトリと、見分けがつくものだろうか」と思っていました。ところが、両者は明らかに違っていたのです。

 コウノトリは脚が長く、サギのような不格好な(ごめん、サギ)首の長さではなく、そして、翼の先端部は真っ黒なのです。

 下の写真は城崎の街で撮影したものですが、この通りの姿なのですよ。

 

 もう一度見られないものか。目を皿のようにして列車の窓から外を見続けたのですが、残念ながらコウノトリの姿はありませんでした。次回に期待することにします。

 

 列車は宝塚(そう、宝塚も兵庫県!)に到着し、私鉄に乗り換えます。それから大阪モノレールに乗って、伊丹空港へ。モノレールはあっという間に空港に着きました。

 

 飛行機の私の席は、行きも帰りも翼の真横。お陰で航空機のタイヤの出し入れをしっかり見ることが出来ました。

 

 青森空港間近で、タイヤを出した状態です。

 「映画だったら、ここにトム・クルーズがぶら下がってたりするんだよね~」

 そんな事を考えたりしているうちに、飛行機は無事に着陸しました。タラップを降りた瞬間、「青森の空気は乾いている」と感じました。暑いことは暑いのですが、やっぱり関西とは違います。空気が軽いのです。

 「ああ帰って来た」

 旅の終わりを実感します。

 

 楽しい旅が終わって、でも寂しいよりは「ほっとする」感じ。「やっぱり家はいいなあ」そう思えるのも、やっぱり旅してこそ味わえる感慨です。

 そして、さんざん温泉に入ってきながらも、こう思うのでした。

 「今日の夜はのお風呂にゆっくり入るぜ、イエーイ!」

 では。

三日目 出石蕎麦(いずしそば)を食べに

 関西は「うどん」が一般的ですが、出石という町は珍しく「蕎麦」が名物なのです。夫は蕎麦大好き人間なので、当然行こうと言うことになりました。

 

 

  出石の名物「皿そば」です。

   一人前がお皿5枚、夫が3枚追加でお願いしたので、合計13枚が並びました。お皿に盛り付けられているというのも珍しいのですが、食べ方も面白いのです。まあ、各自の自由に、好きなように食べればいいのですが、一般的には「味変」を楽しみながら頂くようです。

 ①お皿の蕎麦にお塩を少々振りかけて。

  塩って、どうなのかなと思いましたが、美味しい!蕎麦自体が美味しいからでしょうか。

 ②そばつゆにネギだけ入れて 

 ③わさびも加えて

 ④とろろ(自然薯)を加えて

  いわゆるとろろそば。ツルツルと喉越しが楽しい。

 ⑤生卵も加えて

  ぐっと濃厚なつゆになります。美味しいですよ。美味しいですけど、逆に①のあっさりした味わいが恋しくなったりします(笑)。そして、蕎麦湯もこの濃いつゆに注ぐ事になるのですが、これは有り。スープって感じになります。下の写真のぜんざいのお盆の右が、スープのようになった、蕎麦つゆ+蕎麦湯です。

 

 

 私は普段は食後の甘味は注文したりしないのですが(お腹がいっぱいになるので)、この時は特別。

 

 

 「丹波大納言」(あずき)の文字に惹かれました。旅先での地元の名産との出会いは大事にしないと。帰宅して「食べれば良かったなあ」と後悔しても後の祭りですからね。

 

 出石で、なぜ蕎麦をお皿に盛り付ける事になったかと言いますと、ここ出石は「出石焼」という、真っ白な磁器の産地だからということです。

 

 可愛いお皿です。

 

 食後は「但馬の小京都」と呼ばれる出石の町を見て回りました。

 

 出石のシンボル『辰鼓楼(しんころう)』。明治四年に時刻を知らせるために太鼓を叩く櫓(やぐら)として建設されました。明治十四年には大時計が設置され、日本最古の時計台となったそうです。

 

 出石城跡より町を見下ろします。右に見えるのは再建された隅櫓。

 

 出石城内の一番高いところに鎮座するのが有子山稲荷神社。参道の赤い鳥居です。

 

 明治三十四年開館、近畿最古の芝居小屋『出石永楽館』の内部。

 

 『おりゅう灯籠』。江戸時代の船着き場の灯籠。現在は常夜灯として使用されているそうです。

 

 まだまだ見所の残る出石の町なのですが、そろそろ城崎温泉に戻らなければなりません。夫に厳命されているのです。

 「あなたはまだ4つ、入っていない外湯があるよね。今日中に入ってもらうからね」と。

 今晩中に外湯4つかあ。この暑い中…。でも、そうよね、せっかく城崎温泉に来たのだもの。名物ソト湯めぐり、のぼせてソットウしないよう、気をつけて楽しみたいと思います。続く。

三日目 玄武洞公園

 旅館から玄武洞公園までどうやって行くか。それが問題でした。スマホのアプリで調べても、何だか変な結果が出てくるのです。四苦八苦してたどり着いた結論は、公共交通機関では行けない、と言うことです。

 なぜなら、玄武洞は私たちが今いる所から円山川を挟んだ向こう側にあり、そこへは車で行くか自転車で行くかしかなく、と思っていたら、もう一つ方法がありました。

 渡し船

 よし、それだ、渡し船に乗ろう!早速予約しました。

 

 

   川の向こうに見える建物は玄武洞ミュージアム。ここに予約の電話を入れると、私たちが駅につく時間に合わせてボートが迎えに来てくれるのです。

 「今朝は結構雨が降ったので、川が濁っています。でも、傾斜が緩やかな川なので、流れはこの程度なんです。この辺はラムサール条約に加盟している湿地帯なので貴重な生物の生息地でもあります。時々、コウノトリも飛んでくるんですよ」

 ボートを操りながら、船長さん(?)はガイドもしてくれます。

 コウノトリかあ、飛んでこないかなあ。まあ、無理か。そんな事を考えているうちに、あっという間に到着。玄武洞ミュージアムは岩石好きにはたまらない場所らしいのですが、とにかく時間が無い。お昼はバスで50分ほどの出石町で、名物の「出石そば」を食べなければならないのです(夫はそば好き)。何はさておき、玄武洞へ。

 玄武洞とは、

国の天然記念物。玄武洞のほか、青龍洞白虎洞南朱雀洞北朱雀洞の洞窟が玄武洞公園として整備されている。

約160万年前の噴火によって噴出されたマグマが冷却され、玄武岩溶岩の厚い層が形成された。マグマが冷却される際に体積が小さくなることでできる割れ目(節理)が顕著で切り出しやすかったこともあり、これを人々が採掘し、その採掘跡が洞窟として残った。つまり洞窟は天然のものではなく、坑道・採掘跡地である。

玄武岩柱状節理によって、洞窟内では亀甲状の天井や5~8角の石柱がみられる。江戸時代後期(1807年幕府儒学者柴野栗山がここを訪れ伝説上の動物玄武の姿に見えることから「玄武洞」と名付けた。

                   Wikipediaより抜粋

 ああ、ここで残念なお知らせです。なんと玄武洞公園は現在工事中で、玄武洞は工事の通行止めの手前から。青龍洞には近寄ることも出来ないのです。

 以下、受付の女性と私たちとの会話です。

 女性 「申し訳ないです。青龍洞が一番綺麗なんですけど、見られないんですよね」

 私  「残念です。ブラタモリでみて、来てみたかったんですよ。あれからお客さん来たでしょうね」

 女性 「ええ、あの直後はお客さんあったんですけど、すぐにコロナになってしまって・・・」

 夫  「そうなんですか。ところであそこに『大石りくの遺髪塚』という案内表示があるんですが、そのお寺は遠いんですか?」

 女性 「そうですね、ここからちょっとありますね。大石りくは豊岡の家老の家の生まれで、赤穂の家老にお嫁にいったんです」

 夫  「そうなんですか。今度来たときは是非行きたいですね」

 

 そうなんです、うちの夫は大の『忠臣蔵』好きなんです。大石内蔵助の妻「大石りく」への食いつきは凄かった。私はその時になって初めて、「そう言えば赤穂も兵庫県か。この辺の人にとって忠臣蔵は、めちゃくちゃ身近な出来事なんだろうな」なんて気づいたぐらいです。

 それにしても、人の好きなもの、興味の対象って様々あるものですね。『大石りくの遺髪塚』、見たいものですかねえ。まあ、私も「玄武岩って、見たいものですかねえ」と言われると返す言葉はないのですが。

 でも、これからお見せする写真をご覧になれば、きっと皆さんも「玄武洞公園行ってみたい」と思われると思います。

 

 そして、玄武洞公園の中をぐるりと巡る、この玄武岩の石段の見事さをご覧下さい。地産地消の最も豪華なお手本という感じがします。

 

 

 玄武洞公園を見終わり、渡し船の時間まで20分ほどあります。残念ながら、ミュージアムに入るほどの時間はありません。たまたま行われていた杞柳(きりゅう)細工の即売会をみて、(杞柳細工は柳行李の技術を生かして作られる、柳のかごバッグです)

 

 

 少し早いのですが、川辺に行って風景を見ながら出発を待つことにしました。

 川岸を見たことの無いトンボが飛んでいて、撮ろうかなとスマホカメラをオンにしたときです。

 遙か向こう、山の上。飛んでる!この距離であの大きさ!

 

 絶対、コウノトリに違いない。写真におさめられるなんて、奇跡!

 コウノトリは羽を広げると2mあるそうですが、そんな大きさでした。興奮した~。コウノトリ、ホントにいるんだ~。もっと近くで見たい。再び船の人となりながら、是非もう一度来たいものだと強く思いました。コウノトリのみならず、

 ・今回見られなかった青龍洞を見なければ

 ・玄武洞ミュージアムもゆっくり見学したい

 ・夫の希望『大石りく遺髪塚』にも行かねば

 思い残した事はいっぱいあって、後ろ髪引かれる思いなのは『遺髪塚』ばかりでは無いのでした。続く。

 オマケ:「大石りく」についてWikipediaを読んだら、この記述が。

大柄だったといわれ、身長は6尺(180センチ)あったともいわれる。

 ホントかしらね。オオサンショウウオと言いコウノトリと言い、そして大石りくと言い、このあたりではみんな大きく育つのね。豊岡、「豊か」という字はダテじゃ無いぜ。                                          

 

二日目 城崎温泉に戻って

 「昨日はロープウェイから降りてまっすぐ旅館に帰って来たけれど、温泉寺の山門や薬師堂も良さそうだよ。行ってみない?」という私の提案に対して、

 「そうだね。ロープウェイ乗り場のすぐそばの温泉卵も食べなきゃならないし。裏の通りも風情あるから、そっちを通って行ってみよう」と、夫も快諾。

 ランチ(水族館の後、お寿司を食べました(笑)さすが海の町、美味しかった)後の腹ごなしも兼ね、ブラブラ歩きで行ってきました。

 

 木屋町小路という通りです。ほとんど人通りがなく、ゆっくり写真を撮ることが出来ました。

 

  温泉寺山門。立派です。

  薬師堂。石段を500段余り登っていきますと、昨日訪れた本堂があります。

 中にいらした案内の女性の方が「どうぞお入り下さい」と声をかけて下さいました。城崎で感じたのは、地元の方の物腰がとても柔らかく親切で、古くからの観光地らしく「おもてなし文化があるなあ」ということでした。

 

  十王堂です。

 十王とは閻魔大王をはじめとした、人の生前の罪を裁く十人の王なのだとか。ちょっと惹かれる表情の石仏達です。

 

 お参りの後は「温泉卵」を食べます。実はお参りの前に生卵を買い求め、温泉の湧き出る「卵のつるし場所」につるしておいたのでした、夫が。ちょうどいい頃合いを見計らって戻り、卵を引き上げます。しばらく冷水に浸してから、その場で割って食べます。

 城崎温泉二回目の夫曰く。

 「ここで食べなきゃならないんだよ。なぜなら、ここには専用の温泉卵割り器があるから」

 

 

 素晴らしい!温泉卵が実に簡単に美しく割れたのもそうですが、そのトロトロ加減の絶妙さと来たら!お塩を少し振って、トゥルトゥルっと、流し込むようにして頂いたのですが、「今まで食べてきた温泉卵とは何だったのか」、そう思わずにはいられないほどの美味しさでした。

 さすが我が夫。温泉卵のタイミングを計ることにかけては右に出る者無しと思いましたよ~。思いがけない才能の発見、殻を破った、そんな感じです。卵だけに。

 

 「さて、旅館に戻って着替えて外湯に行こう」夫からの提案です。

 う~ん、お風呂もいいけれど、私はもう少し街の散策をしたいな。よし、夕食までは別行動。ということで、私は賑やかな温泉街の反対方向に、大渓川(おおたにがわ)と円山川の合流するところを目指して歩いてみることにしました。

 

 

 二つの川の合流点を目指したのは、この水門が見えていたからです。こんな立派な水門は見たことがなくて、ただただビックリです。後で聞いた話では、円山川は流れが緩やかすぎて、大雨が降るとたちまち水位が上昇。加えて、このあたりは海も近いために潮の具合によっては海水が流れ込んでくるのだとか。

 円山川や大渓川と言った、豊かな水があっての人々の生活ですが、同時に水の怖さも実感させられたのでした。

 

 この日は朝から「曇り時々雨」と言った空模様だったのですが、その雨のせいでしょうか。大渓川をのぞき込んでビックリ。カニがウヨウヨいるのです。川にもカニがいることは勿論知ってはいますが、こんなにも当たり前の顔をして大量にいるところを見るのは初めてです。

 

 

 地元の方にとっては見慣れた光景でも、他の土地の人間にとっては驚きというのは良くある事かと思います。ですが、その中でも私たち北国の人間が、暖かい地方で目にするものに感じる驚きは特段のように思うのです。

 「本やテレビでしか見たこと無かった~」とか、「教科書で習った~」とか。はたまた、「え、サイズ感が違いすぎる。こんなに大きいの?」そして「いやあ、日本は広いなあ」とか。

 旅行の醍醐味、面白さって、こういう所にあるように思います。

 思いがけない発見をして、カニのように殻にこもらず、温泉卵のように自分の殻を破る、旅の大きな収穫ですね。

 ちなみに、カニの写真をもう一度ご覧頂きたいのですが、大渓川の護岸、川の水面のあたりにご注目。四角い石が並ぶ様が見て取れるかと思います。玄武岩です。玄武洞で採れる石だから玄武岩ブラタモリで知りました。明日はいよいよその玄武洞公園に行きます。例え雨でも行きますよ。石のように硬い意思なのです。続く。

二日目 城崎マリンワールドの海獣達

 水族館で魚を見るのは勿論楽しいですよ。

 美しい熱帯の魚に「わ-」と歓声をあげたり、巨大なエイに「イエーイ」と興奮したり。でも、やっぱり海獣の魅力にはかなわないと思ってしまうのです。それはやっぱり私が哺乳類だからでしょうか。

 「この生き物たちは一度陸に上がったのに、また海に戻ったんだな。陸の何が嫌だったんだろう」そんなことを考えながら、ついつい海獣の水槽の前では長居してしまいます。

 ここ「城崎マリンワールド」では、イルカ・オタリア・アザラシ・アシカと言った、今までにも見たことあるなあという哺乳類メンバーに加え、トド、セイウチという巨大海獣も見ることができるのです。

 見たことある?皆さんは見たことある?トドとセイウチ。私は初めて見ましたよ~。大興奮。しかも驚くべき事に、彼らは芸まで披露してくれるのです。

 勿論、イルカのジャンプは素晴らしいものでした。オタリア、アシカ達だって見事な芸を披露してくれました。ペンギンの散歩も見飽きない可愛さです。でも、面白かった魚を含め、全てを紹介していては切りがありません。ここは、涙を飲んで、トドとセイウチの紹介だけに絞りたいと思います。

 

 セイウチの巨大さは写真でお伝えするのが一番でしょう。ご覧下さい。

 

 

 そして、こんなにもだらしないワガママボディでありながら、なんと腹筋運動を披露してくれたのです。

 

 凄いなあ、良く仕込むものだなあ、私も頑張ろう、なぜかそんな気分になりました。

 

 続いて、トドです。

 トドと言えば、「トドのような○○」という比喩表現がありますね。ネットで「トド 比喩 意味」と検索したところ、「トドのような嫁」「週末の父はトドです」と言った例が目に飛び込んできました。意味するところは、太っているとか、寝転んで何もしないとか、そんなところです。検索の結果ですよ、私の考えではありません。でも、それらは認識不足も甚だしい、トドに対して失礼極まりない表現なのです。

 まずはこの可愛らしさをご覧下さい。

 投げキッスするトドです。

 

 

 あなたがイメージする「トドのような嫁」に、こんな可愛らしさがありますか?

 

 続いて、スマホで撮影した芸をするトドの動画をご覧下さい。

 

www.youtube.com

 

 あなたがイメージする「週末の父はトド」は、こんなにもアクティブですか?

 私は声を大にして言いたい。「トドのような」とは、可愛らしいとか、運動神経がいいとか、そういう意味で使われるべき比喩表現なのです。

 「水族館以上、であること」。

 城崎マリンワールドはそのキャッチコピー通り、言語表現の意味の変革までも迫る、水族館の範疇を超えた水族館だったのです。お勧めです。

 さらにもう一つ。「水族館以上」のアトラクションをご紹介したいと思います。

 

 この日は不漁のために休止していましたが、この写真に写るのはアジの釣り場なのです。アジを釣って、その場で調理してもらって食べるという体験が出来るのです。

 多くの日本人の憧れ(?)「水族館の魚みると、食べたくなる」が、かなえられるのです。まさに「水族館以上」。

 どうです?「城崎マリンワールド」、行ってみたくなったでしょう?時のたつのも忘れるような面白さです。さながら、竜宮城に行った浦島太郎のごとく。

 

 

 でも、夫は言いました。

 「昼には城崎温泉に戻ってランチにしよう。行きたい店がある。その後は外湯巡りだ」

 夫にとって城崎温泉の外湯は、「水族館以上」のようです。勿論付き合いますよ。なんと言っても、私たちは「トドのようにアクティブな夫」と「トドのように可愛い妻」なのですから、夫の提案に異論のあるはずなど無いのです。続く。

二日目 城崎マリンワールド到着

 城崎初日の昨日、最初の外湯体験は「さとの湯」でした。「さとの湯」には和風と洋風の浴場があり男女日替わり制です。私が入ったのは洋風の方でした。展望露天風呂が売りなのですが、何種類かのサウナが周りに配置された露天風呂には、数基の柱が立ち並んでいました。その柱ですが、古代ギリシア建築風なんでしょうか、目にした瞬間、「テルマエ・ロマエ!」と思いました。

 今朝は営業開始早々(7時)に、「地蔵湯」にはいりました。あっさりとした作りの浴場で安心感があります(笑)。

 旅館に戻り、朝食。

 食べながら、グズグズの空模様だったので今日は屋内がいいだろうと、予定を玄武洞から「城崎マリンワールド」に変更しました。旅館のすぐ近くのバス停から約10分。日和山海岸という風光明媚な海辺に面した「城崎マリンワールド」に到着です。

 

 

  どのぐらい風光明媚かを文章で説明するには、日和山海岸の沖に浮かぶ後ヶ島(のちがしま)の伝説をご紹介するのが手っ取り早いかと思われます。

 地元の言い伝えでは、後が島は浦島太郎が玉手箱を開けた場所とされています。その言い伝えにちなみ、後が島には現在たいへん雅な東屋が建てられているのですが、写真に小さく映っているのがその東屋です。おわかりになりますかね?少し大きくしてみますね。

 

 どうでしょうか。

 一目見た瞬間に、「あれって、竜宮城?」と思わせられる雰囲気に満ち満ちていると思いました。風光明媚な海辺でなくては、こうはならないと思うんですよ。あのロケーションなら乙姫様にもきっとご満足頂けるはず。 

 と、こんな感じで、マリンワールドに入る前から、かなりの興奮状態になっている私ですが、なんと言っても、マリンワールドのキャッチコピーは「水族館以上、であること」なのです。

 見せてもらおうじゃ無いか、その真価を。ということで、入場します。

 

 出た~!

 入ってすぐの巨大な水槽は円山川上流の流れを再現しているということですが、何が居たと思います?

 居たんですよー!

 

 

 オオサンショウウオ

 デカい。本当にデカい。

 私はおばさんなので本当は「デカい」ではなく「大きい」という言葉を使いたいとは思うのですが、このオオサンショウウオには「大きい」では物足りない。デカい!がぴったり。1m以上あります。

 私の認識不足ではありましょうが、水族館でオオサンショウウオにお目にかかれるとは。予想外の幸せ。「水族館以上、であること」のキャッチコピー、伊達じゃないようです。

 しかも、オオサンショウウオだけでも凄いのに、なんと、セイウチやトドもいるらしいのです!期待はとどまる事を知らず高まっていくのでした。続く。

一日目 ロープウェイと温泉寺

 温泉街の突き当たりはロープウェイ乗り場と温泉寺山門です。

 

 街の全容を見ようと、先ずはロープウェイに。

 

 

  円山川に大きな橋をかける工事が行われていました。

 「今度訪れる時には、あの橋は完成しているんだろうな」なんて、そんな事を早くも考えてしまいました。

 飛行機から下界を見下ろした時も思ったのですが、平野というものは川が生み出すもの。そして、その平野に人は集まって村を作り、暮らしていく。川あっての人間の暮らしなんだなあ、実感しましたねえ。

 ロープウェイ終点には素敵なカフェがあり、ホットドッグとアイスカフェオレを頂きました。地元のお肉で作られたソーセージが美味しくて、カフェオレも負けない美味しさで、テラス席で美しい景色を眺めながら頂いていると、「旅行してる〜」って気分が盛り上がりますねー。

 その後、周辺を散策し(美しい慈母観音像や、かわらけ投げの崖とか見物し)、再びロープウェイで途中まで降りることにします。

 途中下車したのは、温泉寺を見るためです。温泉寺は高野山真言宗の由緒あるお寺で、開かれたのはおよそ1300年前、重要文化財に指定された本堂は室町時代初期に建てられたそうです。

 

 

 7月の城崎温泉はシーズンオフで最もお客様の少ない時期だと、後日宿の方から伺いました。確かにロープウェイも空いていて、この温泉寺境内に居たのは私達二人だけ。お陰様で、シ~ンとした古いお寺がかもし出す雰囲気に、思いっきり浸る事が出来ました。

 そんな中、夫が言いました。

 「もうそろそろ下りのロープウェイが来るよ。行こう。戻って外湯めぐりだ。先ずは『さとの湯』だな」

 夫の心は観光よりも温泉に向かっているようです。私は景色や建物をゆっくり見たい派です。でも、そこは歩み寄りが必要ですよね。移動で疲れてもいる初日です。温泉でゆっくり体を休めるのも大事です。若くはないのですからね。

 でも、私は心は結構若いですよ。ロープウェイに乗って、「ウェ〜イ!」って気分になりましたもの。明日の玄武洞公園もめっちゃ楽しみだー!続く。